「刺繍」というニューワールド

先週末に雨天ぐずぐず七五三を終えた後も、昨日まで大阪の母が滞在しておりまして、ミシンをかけることも憚られ、また、おしゃべりにも興じていたため、ブログも裁縫もお休みしておりました。

子どもが産まれてからは、なかなか母とゆっくり話すことも難しかったのですが、娘が幼稚園に行っているのと、3才にもなって少しは手がかからなくなったのとで、わりあいまとまって話すことができました。

大体母と話していると、お互いに歴史好きのためか、母の生い立ちから遡り、祖父母の生い立ち、その祖先の話にまで及びます。今は亡き祖父が、複雑な生い立ちのために結構ハチャメチャな人だったので、母は苦労したり恨んだりしているのですが、まあ私は孫なので、聞いている分にはかなり興味深いというか飽きない。

祖父母は個人で紳士服のテーラーをしていたので、最近裁縫をしている私は、テーラー話が新鮮で面白かったです。祖父の実家は、没落士族の系統ながら大阪の洋服店経営で成功していたらしいのですが、祖父が複雑な生い立ちのために途中ぐれてしまい、遊びまくって身代を食いつぶしてしまったのだそうですが、結局は稼業のテーラーをやることになったらしい。母によると、祖母の方が手先が超器用で、目のびっしり詰まったボタンホールは祖母の仕事だったと。

「え、ボタンホールって手縫いなん?」と私。紳士服の世界では、ボタンホールをはじめ手縫いが格上とみなされていて、私が欲しがっている布端をかがるロックミシンなどもバカにしていたらしい(高級な服は、ロック始末ではなく、折り伏せ縫いなどで縫い代を包んでしまうようです)。特にボタンホールは、それを見れば職人の良し悪しが分かるとされていたらしいです(私、コンピューターミシンが自動でボタンホールのかがりやってくれてますけど)。機械でかがるボタンホールに比べ、手縫のボタンホールは超微細な刺繍で、ぷっくり浮き上がっている見事なものなんだそうです。ボタン閉めたらほとんど見えないのにねー、恐るべし職人ワールド。祖父は仕事を取ってくる際は、祖母が作ったボタンホールの見本を持って行って「どや」とやっていたらしい。

「刺繍といえば、お母さんやりかけのクッションカバー押し入れに入ってたやろ笑」みたいな話になり、聞いてみると、不器用・裁縫はじめ手芸は絶対やらない主義だと思っていた母も、子どもが産まれる前には初心者向けのクロスステッチ(小さいペケポンで模様を作っていく刺繍)をやったり、編物教室で人前に出せるくらいのベストを作ったりと、バカにしていた割に意外と手芸もやっていたことが判明(茶道、華道、着付けも一通りはやっています)。母の周りでも、それなりに何かできるおばさんが多いようで、私たちの世代に比べて母世代はまだ手芸が結構ポピュラーだったのだなあと思いました。刺繍は、裁縫に比べて、布と糸と針があればできるので比較的手軽らしい。確かに裁縫は、布や型紙を広げたりで場所を取ります。糸屑もすごいです。必要な道具も多い気がします。

刺繍なんて言葉、私の人生の辞書には掲載されていなかったのですが、にわかに気になってきてちょこちょこ調べてみました。娘の服にワンポイントで付けてみたいな、くらいの気持ちですが。今日は本屋と手芸屋で基礎本などを立ち読みしたのですが、なかなか敷居が高そう…というか、チクチク細かい作業が面倒な割に、貧乏くさい仕上がりになってしまいそうな予感で、どうもワクワクしない。唯一、ワクワクしたのが樋口愉美子さんという刺繍作家さんの本。

2色で楽しむ刺繍生活

2色で楽しむ刺繍生活

これは…かなりハイセンスだと思われます!こんな刺繍ならやってみたい!

しかし、とりあえず手先が不器用な私は、もう一つお手軽でワクワクするものを見つけました。

刺し子の花ふきんと小もの

刺し子の花ふきんと小もの

刺し子です!花ふきんは、母が一時期やっていたのを覚えているのですが、なかなか味があるし実用的だし、最近はモダンな柄もあって、和モダン好きには良さそうです。お手軽なキットも売っているので、まずは手慣らしにやってみることにしました↓

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ステッチガタガタですみません。花ふきんではなく、ランチョンマットにしてみましたが、これは…なかなかの単純作業ながら、時が経つのを忘れる!よく分からないけど楽しい!究極のひまつぶし!(暇でもないんですが)

刺繍、刺し子の類は、ソファに座ってでもできるし、外出先でもできるので、裁縫とはまた違った楽しみ方ができそうですね。今後、絶対安静の入院の機会があれば、間違いなく花ふきんを量産することでしょう。入院中のおばあちゃん(例のボタンホールの祖母)も、刺し子くらいならできないかなあ〜。