子育て中の裁縫のメリット

家庭科の裁縫の時間が大嫌い(ex. まずもってして針に糸が通らない、すぐにミシンの糸が絡まる、アイロンが面倒くさい、真っ直ぐ縫えないなど)で、いつもその場しのぎで過ごしていた私が、娘の入園を機に裁縫に目覚めた理由、主婦の趣味としての裁縫のメリットについて考えてみたいと思います。

1. 達成感
「子育てママは達成感がないから辛い」と聞いたことがあります。もちろん「子供が◯◯できるようになった」などの達成感は時々ありますが、急に何かができるようになるというよりは、毎日毎日の地味な繰り返しにより、気がついたらできるようになっていた、くらいな感じが実際です。毎日毎日は、単調にしてイライラの連続⁈裁縫は、分かりやすい完成物が自分自身の手によって達成されます。

2. 実用的
衣食住の衣に関しては、小さい子供を持っていると、買いに行く手間が結構かかります。子供がいなかった頃は、週末ショッピングしながらデート、みたいな素敵な日々も、子供ができると急に一大イベント。休日、パパが子供を見てくれているうちに、限られた時間で私のも子供のも…!となると、朝昼晩おやつとご飯の事もあるしゆっくりは見られません(当然ながら旦那の服もなかなか)。しかもアラサーともなると、似合った服を探すには試着必須(私だけ?)で時間がかかる。子供服については、私の場合、東京のデパートに出るか地元の大阪に帰った時に、お気に入りの子供服ブランド「ファミリア」の中で探したり、でもそればかりだと高いので、無印とUNIQLO、時折西松屋やバースデー併用(どうせすぐ汚すしね)という感じでやりくりしていました。田舎に住んでいるので、なかなかショッピングの機会も持ちにくく、都会に出て行くだけで子供にも負担をかけている感じがしました。

自分で切って縫う(cut&sew)事ができれば、生地と型紙さえあれば家にいながら子供の服、場合によっては、自分や旦那の物をも用意することができます(もちろん副資材も要りますが、我が家の場合、近所の手芸屋か最悪ネットで調達可能)。似合う型をうまく見つければ、何度でも作れます。

3. 隙間時間でできる
子育て中は、なかなかまとまった自分の時間が取れませんが、ちょいちょい訪れる隙間時間を利用して、工程を進めることができます。

4. いささかアーティストとなれる
私が最も強調したいのはこの点。ベビー時代は授乳・寝かしつけ・オムツ替えから離乳食作り、そのうちトイレトレーニング、子供のお外遊びの相手に加え、買い出し&食事作り、後片付け、洗濯、アイロン掛け、掃除などのルーティンに追われ、それらが人間の根幹的な生活に関わる大切な仕事であるにも関わらず、主婦はなかなか自分の存在意義を見失いがちです。また、幼い子供がいると、そのようなデイリーな場所と一線を画したアートの場に顔を出す事も困難です(日中は当然のこと、子供が寝た後もいつ起きだすか分からないことを考えると、基本的に家を離れられません。せめて美味しいお酒を飲むくらい)。美術館やコンサートや映画など、そういった「無くても死なない、しかし人生や感性を潤わせてくれるもの」とは、必然的に疎遠になります。そのような家に張り付いた環境で、1〜3の条件を満たした自分の感性を生かした仕事は、他に無いかと思われます。もちろん、裁縫を専門に勉強したことがない身としては、型紙や縫製方法などは外部に頼ることになりますが、布地選びから細部のデザインに至るまで、自分で決める事ができます。その過程もまた色々と学ぶことが多く向上心が刺激されますし、段取りを練るのもサラリーマン時代のようなお仕事感満載で、張り合いのあるものです。これまで限られた時間の中で、半ば妥協的に選んでいた服も、子供が寝付いた後にじっくり考えながら、マイペースにいいものを作ることができます。

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生まれながらにして既製品が当たり前、お店で見て、着てみて選んで…だった私たちにとって、服選びの基準が既製品になっているのは当然といえば当然。手作りをしながら「これ、手作りに見えないでしょ?」と自負する自分もいます。なかなか本末転倒にも思えますが、今の時代の裁縫は「手作りに見えない手作り」が主流。私自身長らく既製品が当たり前で、ハンドメイドなんてしてもらった覚えもないし、そんな貧乏くさい事大嫌いでした。

でも!!今の時代、コンピューターミシンではなかなか楽に良い物が作れるうえに、生地も書籍やインターネットも使えば様々な物を選べます。元来、多くの女性は「美しいもの」を求める心が強いものだと思っています。服になる前の様々な生地を手に取ってその厚みと質感を見るだけでも、女性の心は癒されると私は思います。我が家もそうですが、核家族で気軽に子供を預けることもできず、時折げんなりしている主婦にとって、「カット&ソー」は、一抹の煌めきと生き甲斐をもたらしてくれるものと信じています。